そうさくや

小説、動画など創作物をたのしむところ

月見草交換日記

いつからだろうか。

もっと話したい、彼の目を見たい、触れたいと思ったのは。

 

最初はただの同僚。毎日顔を合わせるだけの存在。

彼がここに来る前、その人を前から知る女子が「嫌い」と話していたから警戒していた。

けど、実際はそんなこと無く至って普通。

でも彼女が居ないのはなぜ、なんであの子にこんなに嫌われているのかと言う興味が湧いてたのを良く覚えている。

 

見れば見る程、本当に普通で、むしろ話が合うから毎日とても楽しい。

仕事もできて、気遣いもできる。(やり過ぎと思うときもあるけど)

 

いつしか、彼はもしかして私のこと好きなんじゃないか。

と、うぬぼれたりもした。

恋愛のコラムを見て「男性の脈アリサイン」なんかを漁った日々。

 

彼がいる日は楽しくもっと話したい。

彼の好きな音楽、好きな趣味、考え方をもっと知りたい。

 

彼と話せない土日はとてもつまらなく。

彼が休みの日の出勤は何か寂しい。

彼が体をいためているときはなにか力になってあげたい。

 

 

不意に手が触れてしまったときはもう一度、と願った。

 

 

思うことしか叶わない。

思いを行動に移してはならないと言う抑制がきく。

思うことしか許されないならば、せめて彼も私を思ってくれれば良いのに。

 

 

現状に私はとても満足している。

だから壊したくは無いんだ。

 

ただ、彼のことが人間的に好きなだけ。

彼の幸せを願うだけ、何も望まない。

それだけで私は幸せだ。彼がそこにいてくれるだけで。

 

けど、彼と話す度に、褒めてくれる度にとても愛おしくなる。

 

彼も私のことを好きだと良いのに、と言う欲にまみれてくる。

行動に移せないと、同じ様に苦しんでくれればいいのに。

 

でもこれは、内緒の恋。

実行に移すつもりも、誰かに言う、そんな勇気も覚悟も無い。

 

頭の中の妄想だけで簡潔させて。

 

ありふれた日常にシャンパーニュ