そうさくや

小説、動画など創作物をたのしむところ

仁義無き戦い

3ヶ月に1回訪れる戦いに、私は毎日をかけている。

かれこれ10年以上だ。

 

「良くみがけてますね〜でも、歯の隅々の歯石をちゃんと取らないと」

くそう、フロスか。

 

「フロスも大分やられているようですが上の奥歯が上手くみがけていないようですね」

歯科衛生士殿にほっぺを歯ブラシの柄で横に延ばしながらみがく方法を必死でマスターし、家で練習もした。

 

と言う具合に、歯医者で定期的にみがき方をチェックするイベントで満点を取ることを常に目指している。

 

私が行っている歯磨きのメニューはこれだ。

まずはフロス。ただ隙間に入れて出すだけは素人がやることだ。

フロスはまず歯茎にあたらない程度の力で押し込み、その後は隣接する歯に沿わせながら引き抜く。もう一度同じ箇所に押し込み今度は逆側の歯に沿わせながら引き抜く。

それが歯磨きのポイントだ。

もちろん、全ての隙間を攻めて行く。

続いて歯ブラシが登場する。

私はみがく箇所を27面と分けて徹底的につるつるにしている。

左上から奥歯3本を3面、続く3本も3面、前歯2本が2面、右側も同様に奥歯3本を3面、続く3本も3面だ。右下の奥3本が3面、続く3本は2面、前歯2面、左下も同様に奥3本が3面続く3本は2面。

めちゃくちゃ入念にみがくし同じ面でもみがく方向を変えたり様々だ。何ならコーヒー、紅茶、緑茶がめちゃくちゃ好きなので歯ブラシはステインクリア性能付きだ。

 

なんでこんなに歯磨きにこだわっているのか。

最初は歯槽膿漏の度合いを調べた時に思った以上に進行が早くなっており、恐怖を感じたからだ。年老いて歯が全部無くなり入れ歯や胃瘻になるのは嫌だ……

そのために、原因であった下2本の親知らずも抜いた。1年ごとに1本ずつ。もう二度とやりたくない。

 

でも、歯槽膿漏はきっかけに過ぎ無いのかもしれない。

今では歯科衛生士殿と戦うこと、指摘を受けない100%の磨き率を目指している。

さあ、きたる歯科検診が11月某日に開催されるーーーーー。

いざゆかん。

 

 

「うん、ちゃんと磨けてますね。歯の隙間も綺麗になってます。あれ、でも親知らずの治療後に新しく出来た奥歯の隙間深くに歯石がありますね。そこもちゃんとフロスで取ってあげてください」

 

な ん た る 不 覚………

 

歯科衛生士殿との仁義無き戦いはまだまだつづく。

3月某日に待ち受ける検診までに己を研鑽するべし。

 

 

 

 

おしまい